ブルキチ 自慢話 その1    

我が家には、もうすぐ5歳(オス)になるブルドックがいる。名前は「バロニー2世号」という。2世号というのは、先代1世号が存在していたからである。1世と2世は血が繋がっているわけではない。

主人のお父さんが、いわゆるブルドック狂であった。義父の残した写真には必ずと言ってもいいほど、いつもブルドックが一緒に写っている。

主人の実家には、大きなブルドックが玄関にいつもデーンとかまえていた。それが「バロニー1世号」であった。それはそれは素人の私にもわかるほど、風格もあり、存在感のある立派なブルドックであり、義父の自慢であった。

これをいくらお金を出して手に入れたものか、義父が他界した今では謎である。バロニー1世は、フィラリア症にかかりあっさりと死んでしまった。

当時主人の実家には「シロ」という真っ黒な雑種もいた。これがまた、賢い犬で、主人が働いていた職場の近くに捨てられていた犬だったようで、主人になつき、家まで付いて来てしまったそうである。しかし、2匹も飼えないと車で、山の奥の方に捨てに行ったらしい。

ところが、1週間後、「シロ」は、痩せこけて、ボロボロになって戻ってきたそうである。この「シロ」は正月用に、タライに漬けていた1匹まるまるの棒だらを食べてしまったことがあるらしく、2~3日エサを口にしなかったとよく義母が話してくれ、「シロ」というとこの話を思い出す。

私は元来猫派だったのであるが、主人の実家の、この2匹イヌのせいですっかり犬派になっていた。子供たちもそんな実家に、共働きの都合で度々預けられて大きくなった。

我が家の子供2人は小さい時から、犬を飼ってほしいと言い続けていた。子供が大きくなって「自分たちで面倒見るから、お金も出すからお願いします」と嘆願され、本当に責任もって面倒見るのだったらと意見がまとまった。
実家の「バロニー」も死んで、「シロ」も死んでしまった。その時の主人の落胆振りを知っている私は、主人に異論がある筈はないと、積極的にこの話にのった。「どんな犬にする?」何のことは無い、全員が「ブルドックがいい!」である。

とは言っても、ブルドックはペットショップでも、なかなかお目にかかれない。根強い人気が
あるらしく、生まれるとすぐ、貰い手が決まり、店頭にもなかなか出てこない。我が家も予約しておいた。しばらくして、お店から、写真を見てくださいと連絡があり、みんなで見に行って一目ぼれである。おまけに、血統書付である。

英国のオコボ系の血を引く全日本のチャンピオン犬の7匹兄弟らしい。オコボ系というのは専門書によれば、キングロック・オコボ(イギリスの高名種雌犬メリービンソン・オブ・サタンの固定血統を持つ)のことで、現在関西法方面で受け継がれているようである。

ブルドックは英国の国犬であり、イギリス海軍のシンボル犬であった。何においても、ブランドに拘らない私はそんなことどうでもよいが、義父が生きていたらどんなに喜んだことだろうと思った。
c0072993_1646255.jpgダンポール箱に毛布を敷いて迎えにいった。車の中で、可愛そうにずっと震えていた。わずか、生まれて数ヶ月で、親と離れて、知らない家に貰われるのである。私は「必ず可愛がるからね」と、この小さいブルドックを家まで抱きしめていた。

by taizann | 2005-03-12 16:46 | エッセー

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