ブルキチ 自慢話 その2    

さて、みんなで「名前は?」「バロニー2世号」と簡単に決まった。通称「バロニー」である。

ブルドック(ブル)はとても人なつこい性格である。ある時、近所の奥さんが庭先で草取りをしていた、バロニーは嬉しそうにすぐ擦り寄っていく、その奥さんは気づいて「ヒエーッ!!」腰を抜かさんばかりにびっくりして転げてしまった。

無理も無いこの風貌である、誰でも驚くよ。(しかし、何もそんなにオーバーな驚き方をしなくてもいいじゃないの、なあ、バロニー!)と私は彼を慰めてやる。

それ以来、私は散歩の時にはとても気を使う、特に子供やお年寄りには用心しないと突然走り出し、足元にスリスリし、舐めてしまう。本人は軽い挨拶のつもりであるが、子供などは泣き出したり、怯えたりされると「すみません、すみません」と謝らなくてはいけないことになるからである。

最近ようやく、物をかじる行為が無くなったが玄関の鴨居は見る影も無くかじってしまい、靴、スリッパのたぐいは次々とズタズタにかじられた。

主人の買ったばかりの高い靴をかじった時には、さすがに私は、靴を見せて本気で叱った。「そんなに怒ってやるな」「悪いことをしたら怒らなきゃ」「いいから、それ以上言うな、近くにおいて置く方が悪いのだから・・」である。
私は「まともな靴が1つも無くなってしまったじゃないの、ブツブツ」である

ブルは牛の放牧用として改良され、噛み付いたら離さないという本能を持っている位なのである。私の友人は新しいブーツを履いて遊びに来てやられた。
それからは来る時はいつも前もって電話してくる。
「今から行くけど、あの“ばかブル”小屋に入れておいてよ」と、すると、彼女が来ると必ず吠える、郵便配達の方、宅急便の方、誰が来ても吠えず、ブルは番犬には向かないと決めつけていたが、そうではないらしい。よーくわかっているのである。

ブルは、肩が胴の幅より張り出して、ウエストが細いのが良い体型とされる。その点ではうちのバロニーは、モデルになれる。首は太く、鼻は低く、口のたるみは分厚く、口の回りのシワは深い方がよいといわれる。
鼻が低く気道が短いせいでいびきはすごい。それも、我が家にとっては、心地よい響きで、このいびきが聞こえると今日も健やかなりき、と安心する。

しかし、暑さ、寒さに極めて弱く、夏の散歩は一大決心であり、“雪やコンコン,犬は喜び庭駆け回る”なんて光景はブルには程遠く、雪が降ろうものなら小屋に入って震えているのである。

もう立派な家族の一員で、バロニーにとって息子はご主人様として一目置いており、娘は一番の友達である。結構自分中心で家族を動かしているところもあるのである。

主人は、よくお酒を飲んで帰ってくる、するとバロニーの縄張りの範囲の玄関先の廊下で寝てしまう、主人のお腹にあごを乗せ、2人とも、仲良くいびきの合唱である。
「風邪を引くから、2階に上がって寝たほうがいいよ」と主人を促そうものなら怒って吠え、腕を噛み付きに来る始末である。

そんなバロニーも5歳といえばもう男盛りである(むしろ、もう男盛りは過ぎているかもしれない)。お嫁さんを探してやらなくてはいけない。「バロニーのホームページを作ろうと思う、いいお嫁さんが見付かるかもしれないし、インターネットで売り出すよ」と言ったら、主人は「止めてくれ、ブルドック狂は多いから、バロニ―ほどのブルは、目をつけられたらこっそり、手なづけて連れて行かれるかもしれない」と、言う。

「???」ここまでになると、親子2代続くブルキチであると思う。親バカとは言えないからブルドック狂、すなわち「ブルキチ」とは私が作った造語である。

ブルドックの名前の語源は、イギリスで始まったブル・ベイティング、すなわち、雄牛にイヌを噛み付かせる残酷な闘技で13世紀から17世紀まで、庶民の間で白熱し、スポーツとして流行したもので、それにこのイヌが用いられたことに由来しているらしい。

そんな獰猛な面影は今のブル達には、まったく見られません。

もしも、散歩しているブルに出会ったら、ローリング・ゲイトと名づけられた歩き方を見てやってください。シッポが無くて、お尻を左右に振って歩くその格好は、モンロー・ウオークより魅力的ですから。                     (H16・5.29)                                                                                                                                           参考:誠文堂新光社愛「犬の友シリーズ」
成美堂出版「ブルドック・マニア」

by taizann | 2005-03-12 20:22 | エッセー

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